私たちは日常生活のなかで、早くて安いもので良いものなどあるわけがないのをよく知っています。マクドナルドのハンバーガーやケンタッキー・フライドチキンが旨いか、吉野家の牛丼が旨いか、早くて安いものに旨いものがあったためしがないではないか。なのになぜ自分の家を「早く安く」というのですか、と聞くのですが分かっていただけません。なぜ、建築というのは早く安くつくらねばならないのでしょうか。きちんとお金をかけて、一〇〇年保たせれば、二〇年でバラックを建てて壊すよりはるかに安上がりだといっても誰も聞いてくれません。
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外国の人たちが日本にくると、日本の住宅、建築は全部バラックだといいます。事実日本の家の大半はバラックです。私の設計した家も九五%ぐらいバラックです。要するに、ブルドーザーでちょいと押せばすぐ壊れてしまう家をバラックといいますが、そういう意味では日本のほとんどの家がバラックです。そのバラックの家を、とにかくバタバタと早く安く建てて、五年毎ぐらいに改造して、二〇年経ったら建て替える。これが日本の現実です。これでは家というものにちゃんと予算をかけ、きちんとした文化としてやろうという習慣は育ちません。