肥満の背景にあるもの

2011.05.24

「私は水を飲んでも太る体質なの」「私の肥満は遺伝だから仕方がないの」ときどきこんな言葉を耳にしたりしますが、その根拠はどこにあるのでしょう。食べても太らない体質、あるいは遺伝というのは確かに理想的です。でも、そのような体質は一部の恵まれた人だけに与えられた特権なのでしょうか。いいえ、決してそうではありません。ひとたび太る体質に生まれついてしまったら、太り続ける運命を背負って生きていかなくてはならない、それではあまりにも不公平過ぎますし、実際に体質とは遺伝だけで決まるものではないのです。ここでは肥満と遺伝に関する、ある学術報告をご紹介しましょう。?両親ともに肥満の場合は、子供の三人のうち二人が肥満?片親が肥満の場合は、子供二人のうち一人が肥満?両親が肥満でない場合は、子供が肥満になる確率は十パーセントつまり、肥満はある程度、遺伝的な要因もありますが、実際には遺伝というより、環境や食べ物、生活習慣の影響が大きいという分析結果が出ているのです。ということは、自分の意思で、良くも悪くも変えることができるということです。赤ちゃんが成人になるまで、身体を作る基となるのは食物です。体質はこの食物によって変わります。ですからせっかく親から弱アルカリ性のよい体質をもらって生まれてきても、酸性食品ばかり食べて、不規則な生活をしていたのでは、体質が悪化の一途を辿るばかりということです。そのもっとも顕著な例が、“一人暮らし”です。親元で三度三度バランスのとれた食事を摂っていた人が、大学や短大などの進学によって一人暮らしを始めた途端、不自然な太り方をしたというのはよくあるケースです。友人との外食にはじまり、徐々に自炊をするのが面倒になって、ついついインスタント食品で食事をすませたり、ひどいときにはスナック菓子などを食事の代用にしたり……。これでは大学を卒業する頃には、すっかり健康状態が損なわれてしまっても、自業自得としかいいようがありません。反対に、たとえ虚弱な体質に生まれついても、育っていく過程で食生活に充分気を配り、きめ細かく配慮された食事を三度三度摂るようにすれば、いずれ健康な体質に生まれ変わることができるのです。身体を構築している細胞は、食物の栄養によって常に新しく作り加えられています。その数は約六十兆ともいわれますが、それらの細胞は約三〜六ヵ月のサイクルで常に新しく作りかえられているのです。つまり、毛髪や血液、皮膚はもちろんのこと、骨にいたるまで、すべての細胞が一生涯、新陳代謝を繰り返しているということです。そして、それらを支えているのが、食物なのです。栄養とバランスを考えた食生活を営むことが、健康への第一歩であるということは、そこからもお分かりいただけると思います。